摂理観(霊的成長に関する摂理)

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霊界・宇宙・万物のマクロからミクロに至るあらゆる存在物が「神の摂理(法則)」の間接支配のもとに置かれています。摂理を理解することは「真実の神の姿を知る(認識する)」ことになるのです。「神の摂理(法則)」は永遠・不変であり、これから何万年・何十万年後も変わりません。また遠い将来において新たに摂理が付け加わることもありません。全知全能の神によって造られ、ありとあらゆる状況に完全に適応できるように造られているからです。

神が造った「摂理(法則)」にはさまざまな次元のものがあります。無数ともいえる摂理の一つ一つは合目的性をもち、常に機械的正確さをもって働き、それらのすべての摂理を支配するより大きな摂理(神の叡智としか言いようのない)のシステムの中に置かれ、秩序と調和をつくり出すようになっています。人間を支配している摂理もさまざまで重複・重層構造をなし、それらが表になり裏になりさまざまに絡み合って機能するようになっています。

人間に関する摂理には、「創造に関する摂理」があり、「存在させる摂理」があり、「霊的成長のための摂理」等、さまざまあります。ここでは「霊的成長のための摂理」を掲載します。「摂理」は人間の霊的成長を願う‶神の愛″から造られました。摂理にそって生きることで人間の霊性は磨かれ向上し、一歩ずつ神に近づいてまいります。ですが最終的に神との融合はありません。人間はどこまで行っても永遠の進化向上の道を歩むことになります。

<人間の霊的成長に関する摂理>
① 「永遠の霊的進化の法則」——‶神の分霊″を宿した人間は地上に誕生した時から個的存在となり、永遠に進化向上の道を歩みます。地上人生だけでなく死後霊界に行ってからも、終わりのない進化のプロセスをたどります。シルバーバーチの言葉に「進化が永遠に続くという、なぜそういうおしまいのない計画を大霊(神)がお立てになったのか、そこのところが分かりません。いろいろと私なりに考え、また助言も得ておりますが、正直言って、これまで得たかぎりの解答には得心がいかずにおります。」とあります。「永遠の霊的進化」という法則については、シルバーバーチのような高級霊でさえ理解できないほどの深い謎であるということです。しかし摂理は「神の愛」の反映であり、それに従えば従うほど人間にとっていっそう幸福が得られるようになります。
② 「霊優位(霊主肉従)の法則」——地上人は肉体に包まれて物質世界に住んでいるため、自動的に物質中心の状態に陥ってしまいます。単なる肉の塊、動物と大差のない本能の奴隷・物質的欲望の家来となり、霊的存在としての最低ラインにも至っていないのが実情です。意識的に霊的要素を心の中心に据えようとしないなら、霊的成長は望めません。これが、「霊優位(霊主肉従)の法則」です。最小限の物質で満足し、本能的欲望に流されない生き方・本能の奴隷にならない生き方をするということです。質素で無欲の清らかな毎日を送るということです。この法則は物質界だけに適応されます。
③ 「利他性(利他愛)の法則」——利他性を発揮する努力によって人間は、霊界・宇宙と一体化し調和状態に置かれます。人間の霊的成長の度合いは、この利他性をどのくらい多く体得しているか、ということで決定されます。心が「霊主肉従」であってこそ、純粋な利他愛を持つことができます。霊主肉従は地上人が利他愛を持つための‶前提条件″となります。
④ 「自由意志の法則」——人間の霊的進化は「霊主肉従(霊優位)の努力」と「利他愛の実践」を通じて達成されます。人間は、自ら霊的成長のための道を選択することも、反対に霊的成長に反する道を選択することもできます。これを霊的成長に関する「自由意志の法則」と呼びます。神が人間だけに自由意志という特権を与えていると言っても、それはどこまでも摂理の一定の制限(枠)内に置いての自由であるということです。この枠から外れようとすると、摂理によって苦しみ・痛みという警告が発せられ、歯止めがかけられるようになります。あくまでも「制限つきの自由」であるということです。
⑤ 「因果(カルマ)の法則」——神が造られた霊界と宇宙は、因果関係という神の定めた法則によって支配されています。この「因果の法則」の外に出られるものはありません。マクロの宇宙全体の運行も、ミクロの物質世界の運行も、すべてが因果の法則のもとに置かれています。地上人が摂理に合った歩みをすれば、それが「善い原因」となって「善い結果(霊的成長)」がもたらされ、反対に「悪い原因(肉主霊従と利己的行為)」をつくれば「悪い結果(霊的成長のストップと霊的苦しみ)」がもたらされるようになります。これが「因果の法則(カルマの法則)」です。
⑥ 「自己責任(自業自得)の法則」——「因果の法則」に基づく悪い結果は、すべて本人の責任であり、そのツケ(悪い結果)は本人自身が負わなければならない。これが「自己責任の法則」です。今直面している苦しみは、これまでの人生で自らがつくった悪い原因が結果となって現れたものです。その意味で、あらゆる苦しみは‶自業自得″ということになります。生まれつきの心身の障害・ハンディキャップも、そのほとんどが前世におけるカルマが原因となっています。
⑦ 「償い(苦しみによるカルマ清算)の法則」——摂理に背いた結果は‶苦しみ″として自分自身に返ってきます。実はその苦しみは、罪の償い・罪の清算プロセスとなっています。人間はかつて自分が犯した「摂理違反(肉主霊従・利己的行為)」を、それに等しい苦しみをもって償うようになっています。これが「償い(苦しみによるカルマ清算)の法則」です。苦しみの体験を通して罪が償われると人生がリセットされ、霊的成長に向けて再出発できるようになります。
⑧ 「自己犠牲の法則(代価の法則)」——人間の霊的成長は、霊主肉従と利他愛という摂理に一致した実践によってなされます。その際「自己犠牲」が大きければ大きいほど、結果的に大きな霊的成長がもたらされるようになります。正しい目的のために自分を犠牲にすれば、より多くの霊的宝を手にすることができます。どこまでも「摂理にそって犠牲を払う」ということが肝心なのです。
⑨ 「苦難の法則(光と陰の対照の法則)」——人間は「霊主肉従の努力」と「利他愛の実践」を通して霊的成長がもたらされますが、その際、実践にともなう困難・苦難を克服すればするほど、霊的成長が早く促されることになります。これが「苦難の法則」です。神は地上世界を、光と陰の対照的な体験を通じて霊的成長を達成する厳しい訓練場として創造されました。地上人はその体験によって霊的視野を広げ、魂を磨くことができるようになります。両極の体験によって霊的成長が促されるのです。これを「光と陰の対照の法則」と言い、「苦難の法則」を別の角度から言い表したものです。
⑩ 摂理全体のまとめ——これまでのいくつもの法則は複雑に絡み合い、組み合わさって運行されていきます。一つの法則に別の法則が加わって展開したり、大きな摂理の中に小さな摂理が含まれる形で進展していきます。こうして多次元的な摂理と摂理の関係が成立します。

以上で摂理についてのテーマを終わります。最後にシルバーバーチの言葉を掲載します。なおこれらの引用にあたっては、スピリチュアリズム普及会さんの許可を得ています。

「私が摂理の存在を口にする時、たった一つの摂理のことを言っているのではありません。宇宙のあらゆる自然法則を包含した摂理のことを言います。それが完璧な型(パターン)にはめられております。ただし、法則の裏にはまた別の次元の法則があるというふうに、幾重にも重なっております。」(シルバーバーチ

「摂理の裏側に別の次元の摂理があります。大自然の成育、国家ならびに民族の進化をつかさどる摂理とともに、一人一人の人間を支配している摂理があります。これらが裏になり表になりながら働いているのです。無限の叡知というカギを手にしないかぎり、その全体に完全な調和が行き渡っていることを悟ることはできません。が、間違いなく調和が行き渡っているのです。」(シルバーバーチ

「神を人間の都合の良い方向へ向けさせようとしても無駄です。神の摂理は、計画通りに絶え間なく作用しています。賢明なる人間——叡智を身につけたという意味で賢明な人間は、摂理に文句を言う前に、自分から神の無限の愛と叡智に合わせていくようになります。」(シルバーバーチ

「いくら誠心誠意の祈りであっても、それだけで摂理が変えられるものではありません。いかなる教義を忠実に受け入れても、摂理を変えることはできません。」(シルバーバーチ