実践項目3、苦しみへの正しい対処

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(*スピリチュアリズム普及会ホームページ思想Ⅲより)
苦難との遭遇は地上人生にとっての宿命であり、それから逃れることは決してできません。地上人生における苦しみの意味を知ることは、スピリチュアリズムを正しく理解することであり、同時に「神の摂理」について知ることです。苦しみや困難から闇雲に逃れようとすることは、スピリチュアリズムの教えから外れることなのです。スピリチュアリズムは、他の宗教のように苦しみを敵視するのではなく、苦難に堂々と立ち向かい、それを克服する方向性を示しているのです。死んで霊界に行けば「霊的視野」が開かれ、誰もが地上での苦しみの体験の意味と価値を、実感を持って理解するようになります。苦しみは実は自分自身の「霊的成長」にとって不可欠なものであったことに気が付くようになるのです。

地上人生における苦しみの体験は、再生前の意識を覚醒させることになり、それまでの生き方に疑問を抱くようになり方向転換をはかることになります。あるいは再生前に望んだ方向に無意識のうちに心が惹かれ、自然とそれにそった歩みをするようになるのです。これが「再生前の意識の覚醒」の実情です。人間は地上人生の中で一度は「霊的成長」のための決定的なチャンスと出会うようになっています。その多くがこうした苦しみの体験を通しての「霊的覚醒」であり、それが霊的成長のきっかけをつくることになるのです。

苦しみを体験するだけでは霊的成長はしません。ここにさまざまな誤解が生じています。‶苦しみ″が霊的成長のきっかけとなるためには——「霊的真理に一致した歩みをする」「神の摂理にそって乗り越える」、ここに霊的真理を学ぶことの重要性があるのです。又、苦しみの体験以外に霊的成長を促すものもあり——「霊的真理を真剣に学ぶ」「霊優位の努力をすること」「他人に対して純粋な利他愛を実践すること」などです。地上を支配している「物質中心主義」と「利己主義」は、さまざまな‶悲劇″を発生させていますが、その苦しみには必ずしも霊的成長とは結びつきません。霊的成長を促さない‶無益な苦しみ″を地上から駆逐することもスピリチュアリズムの目的の一つです。一方霊的成長を促す‶有益な苦しみ″は地上に広まり悲劇が無くなった後も、依然として存在し続けます。‶地上天国″が実現しても有益な苦しみは無くなることはありません。

有益な苦しみとは——「肉体を持っているために発生する苦しみ」「人間愛から発生する苦しみ(愛に関する苦しみ)」「カルマによって発生する苦しみ」の3つに分かれます。無益な苦しみとは——「地上人類の霊的無知から発生する苦しみ」です。現在の地上世界にはこうした4つの苦しみ・困難が存在します。

<苦しみ・困難への正しい対処>
① 霊主肉従の闘いによる苦しみ・困難への正しい対処
霊主肉従の闘いによる苦しみは、「霊的成長」の道を歩んでいることであり、有意義な‶霊的人生″を歩んでいることの証と言えます。「肉主霊従」を克服するためには、霊的エネルギーを取り入れるための「霊的闘い」が不可欠です。そのための苦しみは、永遠の進化向上のプロセスの一コマであり、闘いを避けるのではなく、たとえ敗北することになったとしても、堂々と闘う道を選択することで「霊的成長」が叶うのです。諦めずに闘った回数、チャレンジし続けた回数が、死後にまで持っていける‶霊的宝″となるのです。‶肉体″という重くうっとうしい鎧(よろい)を身にまとって生きていくことで、‶善″を求める意思の力を強化し、「霊的成長」を効果的に促すことになります。地上世界が困難な環境として造られているのは、人間の魂をより早く成長させたいと願う、神の愛からの配慮なのです。
② 利己愛との闘いによる苦しみ・困難への正しい対処
人間は徹底した‶利他愛の訓練″を果たすために地球に再生してきました。敵をも愛する「真の利他愛の実践者」となることが求められています。それが‶愛″に関する苦しみや困難を乗り越えるための正しいあり方であり、摂理に一致した対処法と言えます。利己愛という間違った愛は‶寂しさ・孤独″を生じさせます。それは「もっと愛がほしい、霊的エネルギーが欲しい」という魂の叫びであり、同時に「心の持ち方が霊的真理からずれている、利己的な方向に傾いている、早く霊的エネルギーを補充して修正しなさい」という、霊的法則による‶警告″とも言えます。霊的人生を歩もうとする人間にとって、寂しさ・孤独の苦しみの克服は‶信仰の生命線″とも言えるほど重要な意味を持ち、霊的真理が‶霊的武器″としての機能を全く果たせなくなってしまいます。霊的真理を集中して読んだり、徹底して祈ることを通して霊的エネルギーを補充することが重要です。又、「神の愛を心の支え・拠りどころとして、自分自身を確立すること」と、常に寄り添う守護霊の愛を思い出し、‶霊的自立″を確立することです。‶愛の欲求不満状態″から生じる嫉妬も「神と守護霊の愛」を思い出し、先に愛を与えることで‶霊的エネルギー″を補充することが大切です。
③ カルマによる苦しみ・困難への正しい対処
「因果の法則に基づいて発生する悪い結果は、すべて本人の責任であり、そのツケ(悪い結果)は本人自身が負わなければならない」——これが「自己責任の法則」です。全ての結果は‶自業自得″であり、そこに不公平・不平等は一切ありません。どうしても避けられない、手の打ちようがない形で一方的に迫ってくる困難やトラブルの多くが、前世のカルマに関係しています。その苦しみを前向きに受け止め乗り越えようと努力するなら、結果的に償いがなされ、より高い世界を目指す準備が整えられることになります。この意味でカルマによる苦難は「霊的成長」のための一つのプロセスと言えます。「霊的視野」からの広い心・楽天的な心を持ち続ける努力が必要です。又、前世についての霊的事実は——「神の配慮によって地上人は前世を知ることができないようになっている」ということです。ニセ霊能者・ペテン霊能者の‶ニセの前世″の指摘に騙されてはなりません。「カルマ」により苦しみを体験することは、前世に摂理違反・利己的行為をしてきたことであり、地上人生は「カルマ」を償うためにあるということ以外について、あれこれ詮索する必要はありません。
④ 霊的無知による無益な苦しみ・悲劇への正しい対処
無益な苦しみ・悲劇のほとんどが「霊的無知」に起因しています。「正しい霊的知識の普及」こそが霊的無知を解消し、無益な苦しみ・悲劇を追放しようとする霊界主導の大プロジェクトなのです。「霊的知識には責任がともないます」真理を知ったスピリチュアリストはこの世の人々に、無益な苦しみとは無縁の生き方を示す立場・良き見本を示す立場に立っています。スピリチュアリストはこの世の富や名声・地位・職業や愛する人との死別や自分自身の死について、将来について思い悩むような、無益な苦しみに翻弄されてはなりません。又、神の造られた世界には「埋め合わせの摂理」が働いています。一方的に与えられた苦しみをそれによる損失(霊的成長のチャンスが奪われること)に対して、きちんと埋め合わせがなされるようになっています。人類の霊性の低さとそこから発生したエゴによって、非道な扱いを受けた動物たちにも埋め合わせ道が展開され、動物を虐待した人間には「カルマの法則」によって罰として苦しみが与えられることになるのです。

<遭遇する苦難を苦しみと感じない境地を目指して>
地上で遭遇する困難や障害の多くが、「肉体本能」や「前世のカルマ」によって発生します。しかし、自分の心の持ち方・考え方を「霊的真理」にそわせることで、難問を苦しみと感じない高い境地に至ることができるようになるのです。「霊的真理」はスピリチュアリズムが地球人類に与えようとしている‶霊的恩恵″の一つです。すべての問題の原因は自分自身にあります。原因を他人や環境のせいにする者は傲慢なのです。傲慢さを拭い去らないかぎり、苦しみから解放されることはありません。物質的価値観(物欲・名声欲・権勢欲)に対する執着がなくなって初めて、苦しみから解放されるのです。「霊的価値観」に立って物事を霊的視野から眺め、霊界人と同じ考え方ができるようになってこそ、苦しみと感じなくなるのです。苦しみを持つ人間は霊的未熟であり、霊的進化のレベルが低いということを意味しています。シルバーバーチは「苦しみを一切持たないようなレベルにまで、自分の心を引き上げなさい」と教えているのです。常に霊的真理を読み返し、目の前の出来事を真理に照らして判断し、広い心を取り戻すのです。それはまさに厳しい最高レベルの‶霊的修行″と言えます。それを習慣化することで霊的視野が身につき、真の悟りの境地に至ることができるようになるのです。
——シルバーバーチの言葉——
「痛みも苦しみもない人生、辛苦も悲哀もない人生、常に日向を歩き、日陰というものがない人生を送る人は、地上には一人もいません。少なくとも私は、そういう人を知りません。」(最高の福音)
「そのうちあなたも、地上人生を明確な視野のもとに見つめ直す時がまいります。その時、苦難こそ最も大切な教訓を教えてくれていることを、もしもあの時あれだけ苦しまなかったら、悟りは得られなかったであろうことを、しみじみと実感なさいます。」(最高の福音)
「地上人生での出来事は、時には辛さと絶望、痛みと悲惨さに満ちていることもあるでしょうが、そのすべてが、永遠の旅路に向かうための試練なのです。(中略)困難は魂が向上するための階段です。困難・障害・ハンディキャップ——こうしたものは魂の試練なのです。それを克服した時、魂はより強くなり、より純粋になり、より充実し、かくして進化が得られるのです。」(語る 98)
「往々にして最大の危機に直面した時、最大の難問に遭遇した時、人生で最も暗かった時期がより大きな悟りへの踏み台になっていることを発見されるはずです。いつも日向で暮らし、不幸も心配も悩みもなく、困難が生じても自動的に解決されてあなたに何の影響も及ぼさず、通る道に石ころ一つ転がっておらず、征服すべきものが何ひとつないようでは、あなたは少しも進歩しません。向上進化は困難と正面から取り組み、それを一つひとつ克服していく中にこそ得られるのです。」(霊訓 4)
「霊の大軍に所属する者は、いかなる困難にも耐え、いかなる障害にも対処し、あらゆる問題を征服するだけの強さを身につけなければなりません。(中略)最大の貢献をする道具は浄化の炎で鍛え上げなければなりません。それによって鋼鉄(はがね)の強さが身につきます。一見ただの挫折のように思えても、実際はみな計画された試練なのです。人を導こうとする者が安逸の生活をむさぼり、試練もなくストレスもなく嵐も困難も体験しないでいては、その後に待ちうける大事業に耐えうる性格も霊力も身につかないでしょう。」(霊訓 2)  
「それはその人が(再生前に)覚悟していた挑戦です。それを克服することによって、それまで未開発だった資質が開拓され、霊性が一段と発現されるのです。しかもそれは、死後霊界において為さねばならない、より大きい仕事のための準備でもあるのです。」(新たなる啓示)
「問題は、生まれる前に自覚した決意が必ずしも誕生後にそのまま顕在意識にのぼってくるとは限らないということです。それが危機一髪とか、人生の逆境の中で万策つき果てた時などに表面に出て、一気に魂を目覚めさせることがあるわけです。啓蒙の波が一気に押し寄せ、誕生に際して決意した目的に目覚めるのです。」(最後の啓示)
「私は、苦しみさえすれば自動的に人間性が磨かれるとは決して申しておりません。苦難は地上にいるかぎり耐え忍ばねばならない、避けようにも避けられない貴重な体験の一つで、それが人間性を磨くことになると言っているのです。」(霊訓 8)
「それ(神の摂理)を知らないがために引き起こしている愚かしい過ちによる余計な苦しみ・無くもがなの苦しみが実に多いのです。」(霊的新時代の到来)
——場合によっては、苦しみの体験が性格をいじけさせることもあります。
「それは、その体験が魂の本性を引き出すまでに至らなかったということです。それまでに顕現していた側面が、苦難の体験後もまだ真実の自我とはなっていないということです。実在がまだ顔を出していないのです。」(最高の福音)
「同じく苦しむのでも、地上には無用の苦しみが多すぎるという事実を指摘したいのです。みずから背負い込んでいる苦しみ、みずから好んで無知と愚かさの道を選んだために引き起こしている苦しみ、偏見が生み出している苦しみ、迷信に捉われているために生じている苦しみ——私が取り除きたいのは、そうした無くもがなの苦しみです。」(最高の福音)
「要するに理解が行き届かないから苦しい思いをするのです。十分な理解がいけば苦しい思いをしなくなります。また、すべきではありません。」(霊訓 6)

*なおこれらの引用にあたってはスピリチュアリズム普及会の許可を得ています。